友人が経営する会社の離職率が半分に減った。
売上は年間1,000億円程、従業員は海外含め1,200名程の会社だ。
この会社で変えた事は「たった一つだけ」しかもスグできる方法。
それが『一次面接は社長が担当する』たったこれだけ。
今回の記事はこれに関して解説していく。
ただし
「現状維持」を好む場合や「物事を変えたくない」という場合は、相性が悪くムダな時間になる可能性が高いと思う。
その場合はこの記事は読まずに別の手法を探してみて欲しい。仕事において唯一解は無いので問題もないと思う。
「当たり前を疑う」そういう人にはある程度の参考になると思う。
それではさっそく解説へ。
①今までの当たり前を覆す。
まず最初に『一次面接は社長が担当する』はただの手法の事でどんな会社にも万能に効く策ではなない。
この会社でやった事は「問題の芯を捉えて効果的であろう事を昔ながらの慣習に囚われず且つ最速で取り入れた」それが本質だから手法は異なって然るべきとも言える。
普通、面接と言えば1次→2次→3次→最終面接と段階を経るにあたり担当する面接官の役職は上がっていくと思う。
では
- なんでこの順番になっているのか?
- その理由を「合理的」に説明できるか?
ここで思いついた様に答える場合は人材関連の問題は恒常的にあるんでは無いだろうか?
一方で理由を持って答えられる場合は概ね問題は少ないのではないか?
エビデンスは無いので個人の感想だが、端々に企業の体質は出るので大きく間違ってはいないと思う。
ここで言わんとしている事は暗黙のルールの中でアレコレ変えるのではなくそもそものルール自体を作り直すという事。
特に日本の企業体質では決められたルールに従う方法が美徳とされる傾向があるので枠を外した発想事態が難しいかもしれない。(友人は20代の頃10年間アメリカで働いていた)
離職率を低下させるというミッションに対して、教育体制の構築とか、福利厚生の充実とか、給与や賞与の見直しや、色々と対策する会社も多いと思う。
しかしながら即効性ある効果が出たとかいう話もあまり聞かないのは単に問題の芯を捉えていないからだと思う。
②合理的に考える。
合理的とか論理的とかいう言葉にアレルギー反応がある人は多い。やっぱり精神論が日本人は好きなんだと思う。結果よりプロセスが好きなんだと思う。
けどアレルギー反応を起こす人はたぶんこの認識が間違っていて論理的とは「冷たい感じ」「根性が育たない」「そんなこと考えてはいけない」とか、そういう事と思っているかもしれない。しかしそんな難しい事じゃない。
論理的とは
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足が速いから短距離走をやる
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炎属性の敵に水属性の魔法を使う
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暑いからクーラーを使う
そういう事と全く同じ。仕事となるとそこをスッ飛ばして考える人が一定数いる。だからといって根性論や精神論が不要という意味では全くない。むしろ最後に必要になって来るのが根性や精神だったりするので必須と言ってもいい。
ビジネスでは根拠とかエビデンスとか難しい言葉を無理に使うからいけない。
もっと馴染みの言葉を使えば良い。こんなとこでカッコつける必要こそ無い。
「理由」を付けて考える。
これなら小学生でも分かる。だからこれで良い。
③なんで社長が一次面接をするのか?
はっきり言ってコレは結構大変。
2日に1回は面接が入るし都度2時間は使ってしまう。ズームを使ったグループ面接にする事でやっと回している状況。帰宅はいつも午前4時になる。それでも全件必ずやる。
コレは自社の成長に対して「今」必要なのは人なのでそうしていると言うこと。明確に「優先順位」を決めている。
その為に最短・最速・低費用で最もリソースを割かない方法を取っている。むしろ費用に関してはほぼゼロになっている。
「人が辞めずに離職率が◯%以下だったら今どれだけ成長していたのか?」
これを計算してみて「必要」とあれば離職率低下に取り組む価値はあると思う。
④一次面接を社長がする「理由」
一次面接は社長、最終面接は各所の責任者。
一言で言えば「一緒に働く人をその現場に決めさせる」をやっている。
コレには以下の様な効用がある。
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面接は最終面接した人が一番記憶に残る
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面接担当した人の下に配属されるため相互理解がある状態でスタートできる
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「自分が採用した」と言う意識があるので面倒見が良くなる
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「この人が採用してくれた」という意識があるので恩を感じ仕事に取り組める
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ある種の師弟関係の様な関係性ができる
コレだけで離職率は下がる。別に難しいことではない。
人間だから気持ちよく仕事できたらいいよねって話。病んでまで仕事なんてやらない方がいいって話でもある。
じゃあ一次面接で社長が何を見ているかといえば「人間性」だけ。だから質問の内容も決まっていない。
理由としてはただの設問や定型文では人間性を見ることができないから。(逆に一次面接を部下にやらせるとスペックでしか人を見ないと言う現象が起きる)
この流れで採用された場合、配属先の現場の人達とウマが合わず「なんでこの人がウチに配属されたんだよ」みたいな意識が起こり組織に馴染まない確率は高くなる。
しかしながら「自分が採用した」という事実はその確率を下げる。なぜかと言えば上記で示した通りで
「上司から新人に寄り添い、部下も上司に恩や親近感を感じるから」
だからこのプロセスを経て採用された場合は離職が起きにくい。
つまり問題の芯は「人との関係性」にあったと言う事。
その問題の芯を捉えずに、給与だ・福利厚生だ・教育システムだ、と言ったところでそれには合理性も論理性もない。単に数打ち当たれの戦法。コレでは負け戦になるのも必至。
⑤最後に。
「離職」の際は当人から「退職の本当の理由」が語られることはまず無い。
そんなこと言えるはずも無いし、言う義理もない。そもそも当人自身が自覚しているかも危うい。
だからここは雇用者側の想像力が必要になってくる。
ここは顧客の健在ニーズ・潜在ニーズ・インサイトを捉える事と全く同じ。顧客に対して出来るのに採用活動に出来ない理由はない。
そして「社長が一次面接なんてしていると離職率は下がっても会社の成長はない」と思っている人。そういう固定概念があると昔からただ続いているだけの悪しき慣習に気がつけない可能性が高いと言える。
そしてこの友人は現状で社長就任から3年経過。就任当時から売上は1.2倍に、経常利益は3倍以上に成長している。これが遅いか速いかは自分には分からない。それにいつまでも一次面接を担当するわけもない。
一度作ったルールもまた「当たり前を疑う」その対象に必ずなる。現状維持は緩やかな衰退だから。
以上